

市販されているほとんどの靴は、機械縫いで作られています。均一化されたものを短時間で大量に作ることができるので、製造時間を短縮し安価な商品提供が可能になります。それに対して手縫い靴の製法では、できる限り機械に頼らず作り手の体と頭と道具を使って仕上げていきます。やや時代遅れながらも基礎的な技術が必要となる製法です。
例えば、底付けに使用する縫い糸も必要な本数に応じて糸を撚り、ほぐし、穂先を作ったものに松脂をすり込んでから針を付けて使います。手間と暇がかかる製法ですが、道具と自分の体と頭(工夫)をフルに使って一つ一つ作り上げていくことができます。
1)型紙・裁断型紙を革の上に配置し、銀ペンで線を写しとり、革を裁つ。
2)製甲デザイン等に応じてすき機で革をすき、折り込み、各パーツを組み立てる。組み立てたパーツをミシンにかけ、アッパーを完成させる。
3)先芯・かかと芯をつくる底革材を用いる。周囲を包丁ですいて適した厚みにし、ガラスで凹凸をとり、両足の厚みを揃える。
4)つり込みの準備紐靴であれば紐穴に紐を通す等の準備をし、木型を抜く際に抜きやすくするために粉(天花粉=ベビーパウダー)をふる。
5)つり込み木型に甲をかぶせ「ワニ」というペンチのような道具で革を引っ張り、とめ釘を打つ。
6)糸をよりチャンをつける麻糸を必要な本数まとめて片側を柱にくくりつけ、手で撚りをかける。その糸にチャン(松脂を加工した物)をこすりつけ、布でしごき熱で麻糸にしみ込ませる。
7)すくい縫い革をベルトで足に固定させながら、すくい針で中底・アッパー・細革を縫っていく。
8)だし縫いチャンをつけ、毛針をつけた麻糸で細革と本底とを縫い付けていく。
9)かかとを積むかかと用に切り出した本底用の革を積み、切り回す。
10)仕上げ1グラインダーを使わず手作業にて、なまこ・ガラス・紙ヤスリを使って仕上げていく。
11)仕上げ2コテを温めて焼き、あてていく。色を入れた後、ロウを塗り付けて磨く。必要があれば飾りゴテを入れる。
12)底をふのりで磨く底面のギンをガラスで削り落とし、紙ヤスリでやすった後、ふのりを塗り、磨く。
完成
靴が出来上がる、嬉しい瞬間です。
実際の手縫い靴の制作工程はさらに細かく、多くの作業があり、ひとつひとつ手作業で行っていきます。