靴の職人を育てる学校

西成製靴塾ロゴ

塾生の作った靴

手づくり靴の基礎技術を学ぶ

すくい縫いの写真

市販されているほとんどの靴は、機械縫いで作られています。均一化されたものを短時間で大量に作ることができるので、製造時間を短縮し安価な商品提供が可能になります。それに対して手縫い靴の製法では、できる限り機械に頼らず作り手の体と頭と道具を使って仕上げていきます。やや時代遅れながらも基礎的な技術が必要となる製法です。

例えば、底付けに使用する縫い糸も必要な本数に応じて糸を撚り、ほぐし、穂先を作ったものに松脂をすり込んでから針を付けて使います。手間と暇がかかる製法ですが、自らの手で靴を一から作り上げていくことで靴の基本的な構造を理解し、靴を手で形にする技術を身につけることができます。

道具と自分の体と頭(工夫)をフルに使って一つ一つ作り上げていくことの意味を知る。本校ではこのことを大切にして、手縫い靴の技術をお教えします。

カリキュラム

学校の様子と作った靴

1年をつうじて型紙制作・製甲・底付けの工程を並行してお伝えします。カリキュラムにしたがって講義・実習を進めていきますが、生徒一人ひとりの習熟度に合わせて対応することを心がけています。他の専門学校の製靴コースではデザインや色彩学などを広範囲に学びますが、本校は実習中心で、靴職人になるために必要な技術を集中的に学びます。

内容 革靴の手縫い製法の基礎技術(製甲・底付け・型紙)の習得
なお、本校では西成の靴職人による手縫いの製靴技術を指導しております。最新の製靴技術を学びたい方には他校への入学をお薦めしています。
受講期間 入学年4月~翌年3月もしくは入学年10月〜翌年9月の1年間(土日・祝日は休み、盆休み・正月休みあり)
開講時間 月・火・木:午前10時~午後3時(正午から1時間は休憩時間)
水・金:午前9時30分〜午後1時30分(休憩時間は30分程度)
※教室は夕方5時まで自習や自主制作の時間として開放しています。
前期(4月〜9月) 4月は、道具や素材、教室備品などの特徴や使い方などの説明が中心。
5月以降、製甲については一通りの型を前期で教えます。型紙の種類はパンプス・外羽根・内羽根・モカ・ブーツを予定しています。
底付けは手縫いのマッケイ製法、ハンドソーン・ウェルテッド製法の2つの製法を学びます。
後期(10月〜3月) 前期で学んだ型紙制作・製甲・底付けの技術を応用・実践する意味で、個人制作に取り組んでいただきます。最初は自分の作りたい靴を自由に制作してもらい、徐々に実際の顧客を想定したモデルの足やニーズに合った靴作りに挑戦してもらいます。

個人制作
(1)自分が思い描く理想の靴を実作します。
(2)生徒同士をモデルにして、相手のニーズに即した靴づくりに挑戦します。
(3)より実際の顧客に近い第三者をモデル(モニター)にして、相手のニーズに即した靴づくりに挑戦します。
(4)製靴塾外部のコンテストにエントリーして出品作品を制作します。
(5)一年間の総仕上げとして、卒業制作展に展示する作品を制作します。
※年度ごとに個人制作(1)~(5)は取捨選択。ここ数年は「(3)モニター実習」を実施しています。顧客に見立てたモニターの靴を制作するので、緊張感のある実習になります。

なお、カリキュラムにはメーカーや材料卸小売店の見学、地域イベントへの参加も予定しています。

靴作りの工程

  • 型紙・裁断1)型紙・裁断型紙を革の上に配置し、銀ペンで線を写しとり、革を裁つ。
  • 製甲2)製甲デザイン等に応じてすき機で革をすき、折り込み、各パーツを組み立てる。組み立てたパーツをミシンにかけ、アッパーを完成させる。
  • 先芯・かかと芯をつくる3)先芯・かかと芯をつくる底革材を用いる。周囲を包丁ですいて適した厚みにし、ガラスで凹凸をとり、両足の厚みを揃える。
  • つり込みの準備4)つり込みの準備紐靴であれば紐穴に紐を通す等の準備をし、木型を抜く際に抜きやすくするために粉(天花粉=ベビーパウダー)をふる。
  • つり込み5)つり込み木型に甲をかぶせ「ワニ」というペンチのような道具で革を引っ張り、とめ釘を打つ。
  • 糸をよりチャンをつける6)糸をよりチャンをつける麻糸を必要な本数まとめて片側を柱にくくりつけ、手で撚りをかける。その糸にチャン(松脂を加工した物)をこすりつけ、布でしごき熱で麻糸にしみ込ませる。
  • すくい縫い7)すくい縫い革をベルトで足に固定させながら、すくい針で中底・アッパー・細革を縫っていく。
  • だし縫い8)だし縫いチャンをつけ、毛針をつけた麻糸で細革と本底とを縫い付けていく。
  • かかとを積む9)かかとを積むかかと用に切り出した本底用の革を積み、切り回す。
  • 仕上げ110)仕上げ1グラインダーを使わず手作業にて、なまこ・ガラス・紙ヤスリを使って仕上げていく。
  • 仕上げ211)仕上げ2コテを温めて焼き、あてていく。色を入れた後、ロウを塗り付けて磨く。必要があれば飾りゴテを入れる。
  • 底をふのりで磨く12)底をふのりで磨く底面のギンをガラスで削り落とし、紙ヤスリでやすった後、ふのりを塗り、磨く。
完成完成

靴が出来上がる、嬉しい瞬間です。

実際の手縫い靴の制作工程はさらに細かく、多くの作業があり、ひとつひとつ手作業で行っていきます。スポーツと同じく技術を身につけるには、毎日の積み重ねが大切です。実際に手を動かしてたくさんの靴を作ることが上達のコツです。毎日の授業と放課後の自習時間を活かし、在学中の1年間、靴作りに専念してもらいたいと思います。